日本東洋医学雑誌
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尋常性乾癬患者における証の分布と〓血病態の検討-実証スコアと〓血スコアを用いた解析-
橋本 喜夫
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1997 年 47 巻 5 号 p. 819-826

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抄録

尋常性乾癬は, 慢性増殖性炎症性皮膚疾患で, きわめて難治であり, 漢方による治療の試みも多いが, この疾患の証の分布, 〓血を示す頻度などは不明である。田中の虚実判定用実証スコアと, 寺沢の〓血診断基準を参考にした前田の〓血チェックリストを用いて, 乾癬患者72例を診察した。虚証 (0-8点) が31名 (43%), 中間証 (9-12点) が36名 (50%), 実証 (13-18点) が5名 (7%) と, 実証の頻度が高いという結果は得られず, むしろ健常人の分布に近いと考えられた。〓血スコアでは高度の〓血 (40点以上) が30名 (41.7%), 中程度の〓血 (21-39点) が30名 (41.7%) と, スコア上では高率に〓血の病態を示した。スペアマンの順位相関では, 〓血スコアと治療スコア (過去に多種類の乾癬治療を受けた度合) が有意な正の相関を示した。

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