日本東洋医学雑誌
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胆道閉鎖症術後の脾機能亢進症に対する漢方方剤の使用経験
千葉 庸夫
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1997 年 47 巻 5 号 p. 845-849

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抄録

脾機能充進症は胆道閉鎖症術後に最も難渋する合併症である。重症な脾機能亢進症に対しては部分脾動脈塞栓術 (PSE) がおこなわれている。しかしその結果は必ずしも一様ではなく, 時には再塞栓を必要とし, また症例によっては施行し得ない例や拒否される例がある。現在のところこの状態を改善するための薬剤は報告されていない。そこで5例の本症患児に対して加味帰脾湯, 補中益気湯, 人参養栄湯を投与したところこれらの漢方方剤が脾機能亢進の悪化を阻止できることが判明した。またPSE施行例2例に対しては柴苓湯を使用したがPSE後に改善された状態を維持させる上で有用であった。

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