日本東洋医学雑誌
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マウス体毛の発育に対する灸刺激の効果
仲西 宏元尾崎 昭弘
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1997 年 48 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

東洋医学における漢方療法は, 内因性に生体内の活性化を引き起こす。灸療法もまた漢方療法の相補的治療の一つとして行われてきている。灸刺激による効果は, 皮膚局所の血管の変化を引き起こす。温熱刺激効果によって血管拡張の変化を起こし, 同時に細静脈の血管透過性を亢進させるため, 局所的な代謝促進効果が認あられる。
本実験は, 従来推測の域をでなかった局所温熱刺激による血管拡張作用の代謝促進効果を調べた。具体的には, 毛根の代謝促進効果を育毛の成長, 毛根の組織像の変化によって評価した。
実験動物には休止期毛を有する6週齢のCH3/HeNCrJ系雄マウスを用い背部の毛を約8cm2を剃毛した。灸刺激は, 温筒灸を毛を剃った部の中央に1週間に2回行った。灸刺激には血管を長時間拡張させる作用が認められ, 毛包細胞を増加させ, マウスの育毛を促進した。

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