日本東洋医学雑誌
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加味帰脾湯投与により血小板数の増加を認め, 副腎皮質ホルモン剤の減量が可能になった特発性血小板減少性紫斑病の1例
伊東 俊夫中山 志郎
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1998 年 48 巻 4 号 p. 445-449

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抄録

症例は64歳, 女性。平成7年10月より胸部, 下肢に点状出血斑が出現したため受診。ITPと診断し, ツムラ加味帰脾湯を投与したが, 血小板数の増加を認めないために入院。入院時血小板数は4.3万/μl。プレドニゾロン50mg/日の投与を開始したところ, 血小板数は20.0万/μlまで増加した。しかし, プレドニゾロンの漸減後は4.4万/μlまで低下した。そのために加味帰脾湯を併用で再投与したところ, 血小板数は最高27.1万/μlまで増加した。現在, プレドニゾロン8mg/日と加味帰脾湯の併用で外来通院中であるが, 血小板数は約10万/μlで, 経過良好である。本症例は加味帰脾湯単独投与では効果がみられなかったが, 副腎皮質ホルモン剤の減量後の再発時に再投与して血小板数の著しい増加を認めた点が興味深い症例である。今後, 副腎皮質ホルモン剤の減量の時に加味帰脾湯を併用することは再発を予防するために有意義であろうと結論した。

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