日本東洋医学雑誌
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黄耆建中湯および運動療法を併用して機能改善を認めた脊髄小脳変性症の一症例
電気生理学的検討
鈴木 俊明谷 万喜子鍋田 理恵若山 育郎八瀬 善郎
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1998 年 48 巻 4 号 p. 451-457

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抄録

歩行障害を認めた脊髄小脳変性症患者 (65歳, 女性) に対して, 黄耆建中湯による本漢方治療および運動療法を行った。初回評価時は歩行は不安定であり, 特に左側下肢に軽度筋緊張亢進および深部感覚障害を認めた。東洋医学的所見としては, 四肢の冷感および体力低下から生じる疲労感が著明であった。電気生理学的所見としてはABR, SEPおよびF波に異常所見を認めた。治療開始2ヶ月後には歩行が安定し, それにともない他の神経学的および東洋医学的所見も改善した。また, 症状の改善にともない電気生理学的所見も改善した。黄耆建中湯を用いた漢方治療およびボバース概念を用いた運動療法は本症例のような脊髄小脳変性症に対する有効な治療の一つであることが示唆された。

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