日本東洋医学雑誌
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茯苓四逆湯が奏効した交通事故後遺症 (自律神経失調症, 精神障害) の四症例
長坂 和彦土佐 寛順巽 武司嶋田 豊伊藤 隆寺澤 捷年
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1998 年 48 巻 5 号 p. 625-632

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抄録

茯苓四逆湯はその条文に「発汗若シクワ之ヲ下シ, 病仍解セズ煩躁スル者」と記されている。今回我々は交通事故を契機に出現した自律神経失調, 精神症状に伴う愁訴を煩躁と解釈し茯苓四逆湯を投与し奏効した4症例を経験した。これら症例の経験と文献的考察より茯苓四逆湯を精神科疾患に投与する場合の適応病態を以下のように考察した。
(1) 恐怖, 動悸, 抑うつなどのため精神的に内向した状態にあり, 発陽することが必要な病態が存在する。
(2) 全身倦怠感や食欲不振など気虚の病態が存在する。
(3) 頭重感, めまいなどの水滞の病態が存在する。
(4) 心下病鞭, 臍上悸が存在する。

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