日本東洋医学雑誌
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柴苓湯とシソ油により寛解が得られたクローン病の一例
井齋 偉矢
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キーワード: クローン病, 柴苓湯, シソ油
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1999 年 50 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

症例は61歳女性で, 1984年より下痢, 腹痛, 嘔吐を繰り返し, 抗コリン剤, 止痢剤および乳酸菌製剤を投与しても症状は持続していた。1988年7月に癒着性イレウスに対して回腸切除が施行され, 病理診断はクローン病であった。術後も1日数回の軟便, 粘液便は続いていた。1994年7月より柴苓湯9g月3を開始した。投与開始後2週間で1日1回の普通便となり, 体重は2ヵ月で2kg増加した。柴苓湯は1996年5月より6g分2に減量したが排便状況に変化はなかった。同年9月からシソ油を1日30g継続摂取させた。柴苓湯は1997年4月より3g朝1回に減量した後, 同年5月で休薬した。総投与期間は2年10ヵ月であった。休薬後1年3ヶ月を経過した1998年7月現在排便状況に変化は認められない。シソ油は1998年4月より1日15gに摂取量を減らしたが継続して服用されており, 寛解状態は保たれている。

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