日本東洋医学雑誌
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烏頭含有方剤による中毒症状とともに劇的に改善した三症例
古田 一史三潴 忠道新谷 卓弘伊藤 隆寺澤 捷年
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キーワード: 烏頭, 中毒, 瞑眩
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1999 年 50 巻 2 号 p. 247-255

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抄録

最近我々は烏頭による中毒症状を呈しつつも劇的に改善した3症例を経験した。症例1は慢性関節リウマチの患者。桂枝二越婢一湯加苓朮附の烏頭を1日6gから7gに増量した後, 動悸や嘔気が一過性に出現した。同時に多関節痛と検査値は劇的に改善した。症例2は変形性腰椎症の患者。烏頭投与量は1日4gのままで基本処方を芍薬甘草附子湯から八味地黄丸料に変更し, 口唇周囲と四肢のしびれ, 歩行障害が出現したが, 腰痛はほぼ消失した。症例3は変形性関節炎の患者。6月初旬に八味地黄丸料の鳥頭1日8gで加療された。7月下旬には鳥頭は1日4gだったが, 口唇周囲と四肢にしびれが出現し, 膝関節痛は改善した。このことより以下の印象を得た。1) 中毒症状は鳥頭の増量のみならず, 基本方剤の変更や気温の上昇などの気候の変化によっても起こり得る。2) 烏頭を有効に活用するには, 中毒症状の出現を恐れることなく必要かつ十分な量まで増量することも, 時には必要である。

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