日本東洋医学雑誌
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漢方エキス剤による治療が奏効した高度の腹水と浮腫を伴う重症アルコール性肝障害の一例
九味檳榔湯の運用を中心に
松崎 茂
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1999 年 50 巻 2 号 p. 261-266

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抄録

高度の腹水と下肢浮腫を伴う重症アルコール性肝障害患者を漢方エキス剤で随証治療をし, 著効を得た。下肢の浮腫が治療に抵抗したが,「気鬱傾向」と「腓腹筋の握痛」を主たる目標として, 九味檳榔湯を主体とした治療をしたところ下肢の浮腫は速やかに消失した。また, 心理状態と肝機能, 特に蛋白合成能も改善した。肝硬変で, 水毒兆候と気鬱傾向を示す患者では, 九味檳榔湯の適応があると思われた。

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