日本東洋医学雑誌
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桂枝加芍薬湯が奏功した Lupus Colitisの1症例
浅岡 俊之鈴木 輝彦上川 哲平
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2000 年 50 巻 4 号 p. 683-690

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抄録

中等量のステロイド剤に抵抗性を示した全身性エリテマトーデスの消化器症状に桂枝加芍薬湯が奏効した1症例を経験した。症例は28歳の女性。1ヵ月以上持続する下痢, 下腹部痛, 37℃台の発熱, 全身倦怠感を主訴として炎症性腸疾患を疑われ, 消化器専門医にて精査されたが原因は不明であった。3ヵ月間にわたり salazosulfapyridine を投与されたが改善なく経過観察されていた。約1年後, 多関節痛, リンパ節腫脹, 発熱が出現し当科受診, 精査の結果, 全身性エリテマトーデスと診断された。また下部消化管には大腸内視鏡にて散発性, 限局性に粘膜のアフタ様病変が認められた。消化器症状ならびに他の臨床症状の改善を目的として30mg/日の prednisolone が投与された。発熱, 関節炎, 白血球減少は改善したが, 下痢, 腹痛は持続した。下痢, 腹痛に対し桂枝加芍薬湯エキス製剤 (TJ-60) を投与したところ症状は改善し, 以降2年にわたり経過は順調である。

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