日本東洋医学雑誌
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老人性皮膚〓痒症に対する十全大補湯の有用性
〓田 治
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2000 年 50 巻 5 号 p. 877-881

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抄録

老人性皮膚〓痒症患者の皮膚状態は血虚と考えられ, これまで漢方治療に当たっては主に補血剤が用いられてきた。十全大補湯はアトピー性皮膚炎患者の〓痒に効果を認めた報告はあるが, 老人性皮膚〓痒症に使用された報告は明らかでない。今回, 疲れやすい, かぜをひきやすい, 寒さに弱い, 疲れ目, 不眠, めまい感などの症状を呈する老人性皮膚〓痒症に対し十全大補湯エキス剤 (ツムラ) が奏功した4例を経験した。平均年齢は79歳で, 男性2例女性2例であった。全例において皮膚乾燥がみられ, 気血両虚が存在していた。投与量は用いたエキス剤の常用量の1/3~1/2であり, 効果発現は2~6週で認められた。十全大補湯は老人性皮膚〓痒症患者に有用な方剤の一つであると思われ, 投与の目標として気血両虚の存在が示唆された。

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