漢方薬で短期間に外用ステロイドのリバウンドを乗り切れたアトピー性皮膚炎の3症例を報告する。皮膚局所の証は紅斑を熱と考え清熱剤を, 紅斑落屑局面を虚熱と考え滋陰と清熱の生薬で構成されてる漢方薬を, 滲出傾向, 浮腫傾向, 苔癬化を水毒と考え利水剤を選択した。冷えや倦怠感等の全身症状を伴う例ではさらに腹診, 舌診, 脈診, 問診などから随証的に処方を選択した。症例1は19歳女性で冷えを伴う例である。十全大補湯と白虎加人参湯と猪苓湯で一週間後に著明に改善した。症例2は19歳男性, 実証で皮膚の水毒が中心の例で五淋散と猪苓湯と三物黄苓湯で1ヵ月で略治した。症例3は25歳男性, 皮膚の水毒と全身的陰虚が主体の例で, 六味丸と猪苓湯と三物黄苓湯で1ヵ月で略治した。