日本東洋医学雑誌
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春季花粉症の病態像
有効漢方方剤に基づく検討
三浦 於菟興津 寛武島 英人土屋 喬斎藤 輝夫白石 佳正渡辺 裕
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キーワード: 花粉症, 温病
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2001 年 52 巻 2 号 p. 191-205

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抄録

春季花粉症患者の漢方治療が有効であった69例 (男24名女45名) を, 有効方剤に基づき分類し, 花粉症発生時期, 自他覚症状などを比較し, それらの東洋医学的病態を分析する事で, 花粉症の病態像を検討した。その結果, 以下の3群と特殊な病態群 (4例) に分類された。すなわち, (1)辛温解表剤有効群 (23例)。本群は1月下旬より2月中旬に初発し, 多くは虚証の素因を有し, 風寒証の花粉症と考えられた。(2) 辛涼解表剤有効群 (22例)。本群は2月中旬以後の初発が多く, 外感風熱証症状を呈し多くは実証で, 温邪は弱く風邪が強い温病の風温証の花粉症と考えられた。(3) 混合群 (20例)。本群は辛温解表剤と辛涼解表剤の混合群であり, 虚証の素因は少なく, 辛涼群と辛温群の特徴が混在する寒熱錯雑症状を呈し, 温病の風温証に寒邪が客した兼証ではないかと考えられた。

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