日本東洋医学雑誌
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四味膠艾湯加味が奏効した絨毛膜下血腫の一症例
関矢 信康喜多 敏明小暮 敏明柴原 直利嶋田 豊寺澤 捷年
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2001 年 52 巻 3 号 p. 341-345

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抄録

西洋医学的な治療に対して抵抗性であった絨毛膜下血腫が四味膠支湯加味投与により縮小・消失した一症例を経験した。症例は29歳, 女性。妊娠第10週に下腹部痛, 不正性器出血にて発症した。切迫流産, 絨毛膜下血腫の診断で産婦人科に入院し, 安静および止血剤, 子宮収縮抑制剤の投与を受けたが改善しなかった。妊娠第17週より四味膠艾湯加味を投与したところ諸症状は4週間で全て改善し, 血腫は5週間で消失した。その後も再発することなく順調に経過し, 妊娠第37週には無事, 2628gの男児を出産した。絨毛膜下血腫に対しては和漢薬による随証治療が有効である可能性が示唆された。また妊産婦の出血に対しては〓帰膠支湯よりも四味膠艾湯が安全に処方できると考えられた。

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