東洋医学教育の転換期に当たり, 昭和大学医学部・病院における東洋医学の動向をまとめた。96年の学生, 基礎・臨床医学教員および薬剤部を対象としたアンケート調査を基にして, 99年, 00年の追跡調査を加えた。東洋医学とはどういうものかという認識度は, 学生においてはこの4年間低いままであったが, 東洋医学, 特に漢方薬に対する興味は強まっていた。96年には, 基礎医学教員の約20%が東洋医学の研究を行っていた。臨床医学教員の約40%は漢方薬を処方しており, 西洋医学では対処し難い慢性病に効果があると考えていた。薬剤部の調査によると, この4年間に, 漢方薬の処方量, 処方される漢方薬の種類は著しく増加した。今後, 漢方薬が一層有効に適用されるためには, 適切な卒前教育が必要であること, また, 東洋医学に興味を持つ医学教員は, 東洋医学の基礎・臨床についての卒後教育の機会を求めていることも判明した。