2003 年 54 巻 2 号 p. 261-271
エストロゲン過剰刺激によるマウス子宮内膜癌モデルには c-fos/jun や内因性サイトカインIL-1α, TNF-αやCOX-2の変動も関与していると考えられる。内膜発癌の化学予防に十全大補湯漢方製剤が有効であり, その抑制作用の主成分は四物湯であると推察された。
一方, ヒトにおけるタイプIの子宮内膜癌の予防にはエストロゲン刺激を避け, 子宮内膜増殖症の時点から管理していくことが重要であり, 十全大補湯などの漢方を含む薬物による化学予防の実際の対象は内膜増殖症を有するハイリスクグループであると考えられる。