日本東洋医学雑誌
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三叉神経痛に対して漢方薬が有効であった症例の検討
堀口 勇大竹 哲也岡田 貴禎富田 行成志賀 達哉
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キーワード: 三叉神経痛, 表寒証, 水毒
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2003 年 54 巻 2 号 p. 383-386

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抄録

三叉神経痛に対しては carbamazepine が特効薬として使用され, 根治的には Jannetta の手術が行われる。しかし手術を望まず carbamazepine も無効となって, 激痛に悩まされる例もある。今回, 漢方薬が有効であった症例について検討した。
漢方薬により carbamazepine が不要となったものを著効例, 半減できたものを有効例としてまとめると, 著効例7例, 有効例7例であった。処方は呉茱萸湯が2例, 五苓散を含む処方が9例, 柴胡桂枝湯・当帰四逆加呉茱萸湯生姜湯・麻黄附子細辛湯が各1例となった。
三叉神経痛は上小脳動脈やその周辺血管の三叉神経への癒着・圧迫があり, 三叉神経の浮腫が生じていると考えられている。限局した領域における浮腫であっても五苓散や呉茱萸湯などはその利水効果によって効果を発現できるのではないかと思われた。14例の検討から三叉神経痛は水毒・表寒証が多いと考えられた。

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