日本東洋医学雑誌
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五苓散料が有効であった坐骨神経痛の1例
古谷 陽一谷川 聖明立野 豊喜多 敏明寺澤 捷年
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2003 年 54 巻 6 号 p. 1091-1095

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抄録

五苓散料が有効であった坐骨神経痛の1例を経験したので報告した。患者は66歳の女性。2000年5月19日から右の変形性膝関節症で当院の整形外科を通院中であった。2002年5月10日頃から, 左の臀部痛と左下肢の重くてだるい感じが出現。5月15日に坐骨神経痛と診断された。Loxoprofen と Eperisone の投与, 神経根ブロックが行われた。しかし症状が改善しないため, 8月7日に当科を初診となった。附子湯を4週間服用したが症状には全く変化がないため, 9月4日から五苓散料に転方した。2週間の服用で臀部痛は軽減した。9月18日から桂枝茯苓丸エキスを併用。初診時の疼痛は Visual analogue scale では100であったが, 12月25日には35まで改善した。
今回の経験から, 五苓散料が坐骨神経痛の治療方剤の一つになり得る可能性が示された。

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