日本東洋医学雑誌
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滋陰降火湯を気管支喘息に応用する試み
関矢 信康引網 宏彰酒井 伸也貝沼 茂三郎後藤 博三柴原 直利嶋田 豊寺澤 捷年
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2003 年 54 巻 6 号 p. 1097-1101

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抄録

滋陰降火湯は『万病回春』に収載された方剤であり, これまで気管支炎や肺結核に頻用されてきた。今回, 気管支喘息に滋陰降火湯が有効であった2症例を経験したが, 自覚症状として咽喉不快とイライラ感が共通していた。そこでこれらの徴候を有する気管支喘息患者11例を対象に滋陰降火湯を投与した。その結果, 全ての症例において何らかの改善が認められた。すなわち血中好酸球数低下, 血清IgE低下, プレドニゾロンの減量, PEF (ピークフロー) の上昇, 発作の減少・消失, 咳喘息における乾性咳嗽消失などである。以上のことから滋陰降火湯は気管支喘息の長期管理薬 (コントローラー) となりうる可能性があると考えられた。また咽喉不快とイライラ感は滋陰降火湯を使用する際の一つの目標になりうるものと考えられた。

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