2003 年 54 巻 6 号 p. 1103-1108
臨床実習ならびに講義の効果の向上を目的に, 医学生の漢方医学に対する, あるいは総合診療と漢方医学の考え方の接点に関する認識について調査を行った。本学総合診療部で臨床実習を受けた医学部5年生 (66名) を対象として無記名調査を行った。漢方医学に関心がある学生は22.4% (非常に) 68.7% (少し) であったが, 理解しているとした学生は23.9%であった。総合診療に漢方医学を活かせるとした学生は31.3% (非常に) 53.7% (少し) であった。この問に対して, 漢方医学を理解しているとした学生15名では60.0%が総合診療に漢方医学を活かせるとしたのに対して, 全く・あまり理解していないとした42名では活かせるとする学生は19.0%であった。総合診療を理解している・いない学生に分けた検討でも同様であった。西洋医学での総合診療の考え方に漢方医学の考え方を活かせると学生は認識しており, 双方を理解しているとする学生で, その認識は高かった。医学生は総合診療・漢方医学を理解することによって, 全人的医療の実践に寄与できると認識していることが推察された。