日本東洋医学雑誌
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2型糖尿病患者における陰陽、虚実証の検討
別所 寛人川上 智津江西山 稔英 肇南條 輝志男
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2004 年 55 巻 1 号 p. 125-129

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抄録

2型糖尿病における東洋医学の証と西洋医学的な臨床指標との関連性を明確にするために, 2型糖尿病患者の陰陽証あるいは虚実証の頻度ならびに各証とインスリン抵抗性 (IR) との関連性を検討した。65名の2型糖尿病患者 [男性27名 (平均年齢60.9±12.0歳), 女性38名 (64.9±8.4歳)] を陰陽証あるいは虚実証単独で分類した場合の頻度は, 陰証30.8%, 中間証32.3%, 陽証36.9%あるいは虚証30.8%, 中間証33.8%, 実証35.4%であった。また, 陰陽・虚実証を併用した分類における頻度は陽実証26.2%, 中間中間証21.5%, 陰虚証18.5%, 陽虚証10.8%, 中間実証7.7%, 陽中間証6.2%, 陰中間証6.2%, 中間虚証3.1%であった。
一方, インスリン療法を除く2型糖尿病患者についてIRの指標である空腹時血漿インスリン値 (fasting plasma insulin level: F-IRI) と Homeostasis Model Assessment によるインスリン抵抗性指標 (HOMA-IR) を検討すると, F-IRIは実証群が虚証群 (p=0.044) に比し, 陽実証群が陰虚証群 (p=0.033) に比し有意な高値, HOMA-IRは陽実証群が陰虚証群に比し有意な (p=0.017) 高値であった。
以上より2型糖尿病患者では陽証と陰証, 実証と虚証が同程度存在することが確認された。さらに, 陽証や実証を呈する2型糖尿病患者ではIRとの関連性を有することが示唆された。

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