日本東洋医学雑誌
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漢方治療が奏効した周期性好中球減少症の一例
木村 豪雄小尾 龍右古田 一史三潴 忠道
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2004 年 55 巻 2 号 p. 253-259

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抄録

難治性の腹痛を繰り返す周期性好中球減少症に対して漢方治療を行なった。症例は44歳の男性。18歳より約1ヵ月周期で繰り返す全身倦怠感と腹痛にて発症した。急性腹症の手術を契機に周期性好中球減少症と診断された。ステロイド, 顆粒球刺激因子および免疫抑制剤などによる様々な治療が行われたが, 寛解には至らなかった。さらに好中球減少の周期性は徐々に乱れ, 激しい腹痛が持続するようになったため腹腔内神経叢ブロックを施行されたが, 効果は持続しなかった。漢方医学的所見では著しい虚証かつ寒証に陥っていたため, 通脈四逆湯と大建中湯合附子粳米湯で対応した。その後は, 刻々と変化する腹痛に対して建中湯類を中心とした方剤を適宜変更することにより症状の軽減のみならず, 好中球減少の周期性を改善することが出来た。

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