日本東洋医学雑誌
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月経前症候群に対する加味逍遥散を中心にした漢方療法
川口 惠子新沢 敦二宮 裕幸田原 英一森山 健三中尾 紀久世月岡 康行新谷 卓弘久保 道徳高屋 豊
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2005 年 56 巻 1 号 p. 109-114

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抄録

月経前症候群 (PMS) は月経を有する婦人の40%にみられ, 女性のQOLを著しく阻害している。その発症原因は不明の点が多く, 診断基準や治療法も確立されたものは無い。
そこでPMS患者33名に加味逍遥散を中心とした漢方薬エキスを投与して, その有効性をみることにした。効果を客観的にみるためにPMSスコアを作成した。治療開始前に (1) 精神症状, (2) 頭痛, (3) 乳房痛, (4) 浮腫, (5) 下腹痛, 腰痛の5項目について症状の強さによってスコア0 (症状無し), スコア1 (症状は有るが我慢できる), スコア2 (薬無しでは耐えられない) を記入してもらい, 2周期後に再びスコアを記入してもらった。
33例中24例が症状改善し, スコアは平均4.4から1.5に低下し, 引き続き漢方薬の服用を希望した。4例が効果少なく, 他の治療法を希望した。5例は2周期後の評価ができなかった。以上の結果からPMSには加味逍遥散を中心とした漢方療法が非常に有効であることが分かった。

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