日本東洋医学雑誌
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強直性脊椎炎に対する烏頭剤の使用経験
引網 宏彰関矢 信康古田 一史嶋田 豊寺澤 捷年
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2005 年 56 巻 2 号 p. 281-286

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抄録

強直性脊椎炎 (AS) 患者に対して烏頭含有方剤が奏効した2症例を報告する。
症例1は33歳男性。20歳時より背部のこわばりと疼痛が出現した。26歳時に近医整形外科にてASと診断された。
1997年当科を初診し脊椎X線写真で Bamboo spine 像を認めた。寒冷刺激で疼痛が増強することを目標にして烏頭湯を投与したところ, 炎症反応の改善とともに疼痛が緩和し, 日常生活動作 (ADL) も改善した。症例2は24歳男性。14歳から左股関節痛が出現。16歳でASと診断され, NSAIDsで経過観察されていた。その後他の関節痛や背部痛も出現し炎症反応も持続的に陽性であったため, 23歳よりメソトレキサート (MTX) の投与が行われたが改善せず, 2002年当科外来を受診した。HLA-B27陽性と仙腸関節炎の所見を認めた。烏頭桂枝湯を投与したところ, 疼痛の緩和とともに運動制限がなくなり炎症反応も改善した。ASに対して烏頭含有方剤は有用である可能性が示唆された。

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