2005 年 56 巻 4 号 p. 585-590
B型慢性肝炎の seroconversion (SC) の過程で, 補中益気湯合桂枝茯苓丸料が有効と考えられた2症例を経験したので報告する。症例1は27歳の男性。1998年, B型慢性肝炎の診断にてインターフェロン (IFN) を投与されたが肝炎の鎮静化は得られず, ●●●●, 倦怠感を主訴にゆきぐに大和病院和漢診療科を受診した。補中益気湯合桂枝茯苓丸料を投与し, 同年10月初旬にはトランスアミナーゼが正常化し, SCとHBV-DNAの陰性化を確認した。症例2は26歳の男性。2001年, B型慢性肝炎の診断にてIFNの投与を受けた。投与終了から約7ヵ月後にトランスアミナーゼの再上昇を認め, ●●●●, 当科を受診した。補中益気湯合桂枝茯苓丸料を投与したところ, 速やかにトランスアミナーゼが正常化し, SCとHBV-DNAの弱陽性化を確認した。