乳幼児期以来の精神遅滞, てんかん, 複雑腎尿路奇形をもつ22歳男性。多尿型の慢性腎不全と心因性多飲, 粗暴な言動のためQOLの低下と適切かつ安全な透析管理が困難であった。透析開始後3年8ヵ月で4回目のシャント形成術を受けたのを機会に, 不眠や手の痒みなどの改善目的で黄連解毒湯を用いたところ, 不定愁訴の改善のみならず, 指導を受け入れるようになった。とくに, 透析前日に理解力不足から大量に飲水する行動が消失し, 無理のない除水量で透析が遂行でき, 塩酸メチルフェニデート, カルバマゼピンの減量も可能となった。中枢神経系への作用機序の更なる解明が待たれるが, 小児や若年者の発達障害等への応用も今後考慮してみたい。