日本東洋医学雑誌
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黄連解毒湯により透析管理が容易になった知的障害をもつ慢性腎不全の1例
平岩 久幸平岩 里佳金津 幸子廣瀬 方志太田 庸子伊達 伸也
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2005 年 56 巻 5 号 p. 805-812

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抄録

乳幼児期以来の精神遅滞, てんかん, 複雑腎尿路奇形をもつ22歳男性。多尿型の慢性腎不全と心因性多飲, 粗暴な言動のためQOLの低下と適切かつ安全な透析管理が困難であった。透析開始後3年8ヵ月で4回目のシャント形成術を受けたのを機会に, 不眠や手の痒みなどの改善目的で黄連解毒湯を用いたところ, 不定愁訴の改善のみならず, 指導を受け入れるようになった。とくに, 透析前日に理解力不足から大量に飲水する行動が消失し, 無理のない除水量で透析が遂行でき, 塩酸メチルフェニデート, カルバマゼピンの減量も可能となった。中枢神経系への作用機序の更なる解明が待たれるが, 小児や若年者の発達障害等への応用も今後考慮してみたい。

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