日本東洋医学雑誌
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漢方薬の調剤におけるリスクとその防止
金 成俊緒方 千秋水澤 深雪坂田 幸治山田 陽城石野 尚吾花輪 壽彦
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2005 年 56 巻 6 号 p. 953-959

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抄録

近年漢方薬を取り扱う医師の数が増えており, 薬剤師による漢方薬の調剤頻度も高くなってきているのが現状である。このような漢方医学の普及に伴い, エキス剤以外に薬剤師が煎じ薬の調剤を行う機会も増えている。ところが, 煎じ薬の調剤は特殊であり. 調剤過誤のリスクも決して低くはない。煎じ薬の調剤過誤について調査を行いその防止対策について検討を行った。1990~1999年の間, 患者に投薬後発覚した過誤は54件あり, 調剤過誤が44件であった。調剤過誤防止対策として重要な点は, 調剤終了後に再度処方の重量と内容の鑑査を実施し, また投薬時の鑑査以外に漢方薬の内容を, 患者とともに最終鑑査を実施することであった。安全な漢方薬の提供を行うためにさ, 今回の報告がリスクマネジメントである薬剤師による漢方薬の調剤過誤防止に役立つものと期待される。

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