日本東洋医学雑誌
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九味檳榔湯の使用目標と適応症
関矢 信康地野 充時後藤 博三柴原 直利嶋田 豊喜多 敏明寺澤 捷年
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2006 年 57 巻 3 号 p. 333-338

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抄録

九味檳榔湯は浅田宗伯の創方であり脚気樣症状を呈する水毒体質者によく用いられる処方である。我々は腹部右側の鼓音の存在は九味檳榔湯を使用する際の一つの目標になりうることを既に報告している。今回, これまで報告のなかった慢性痒疹, 皮膚〓痒症, 慢性蕁麻疹などの皮膚疾患さらに冷え症の症例に対し水滞の症候と腹部右側の鼓音を目標として九味檳榔湯を投与して著効を得た。このことから九味檳榔湯の使用を考慮する際にはこれまで重視されてきた所見に加えて右側型の鼓音の有無を検討することで, より高い精度で処方決定しうること, さらにはこれまで鑑別に挙げられることの無かった病態に対しても本方を応用しうる可能性が示唆された。

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