日本東洋医学雑誌
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疎経活血湯が奏効した Hailey-Hailey 病の1例
松田 三千雄菊地 梨沙飯田 憲治
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2006 年 57 巻 3 号 p. 353-357

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抄録

Hailey-Hailey 病に対し疎経活血湯が著効した1症例を報告する。
症例は70歳, 女性。家族歴で母, 姉, 祖母に同症がある。2004年8月頃から両鼡径部の掻痒を伴う湿潤性紅斑が出現し, 同年9月に受診した。組織検査から Hailey-Hailey 病と確定診断した。舌の亀裂, 臍窩不仁, 口渇, 盗汗から腎陰虚にて六味丸, 易疲労感から気虚と考え補中益気湯を選択した。皮膚病変は表皮に病変有ること, 湿潤性, 紅斑から風湿熱と考え越婢加朮湯を選んだ。それぞれエキス剤で1日各2包を朝夕内服してもらった。全身症状は改善したが皮膚症状は軽度改善したのみだった。風湿をより強力に除くため越婢加朮湯をやめて疎経活血湯に変更したところ著効した。

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