日本東洋医学雑誌
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アジュバント関節炎ラットに対する低周波置鍼療法 (筋パルス) の検討
松畑 出谷口 典正金井 成行
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2006 年 57 巻 4 号 p. 437-441

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抄録

実験的関節症モデルであるアジュバント関節炎ラットに低周波置鍼療法 (筋パルス) を行い, 除痛効果について検討した。SD系 (雌・6週齢) ラット24匹を3群 (I~III群) に分類した。I・II群は, アジュバント関節炎 (Adjuvant-induced Arthritis: A. A.) を惹起後8週間放置し, 慢性炎症モデルとした。I群は, は無処理群とした。I群 (AA-E群) は, 大腿四頭筋部位に低周波1Hz10分間通電刺激を5日間行った (n=8)。II群 (AA-N群) は, I群のコントロールとしてA. A. 惹起後, 無処置にて飼育した (n=8)。III群 (CTL群) は, I, II群の比較対照群とし健常ラットとした (n=8)。
置鍼は, 大腿四頭筋に刺鍼 (深さ5mm) し, 低周波置鍼療法 (筋パルス) を行い, その前後の後肢の血流量, 足底への痛覚閾値に対する反応時間及び行動量を検討した。
低周波置鍼療法 (筋パルス) 前には, AA群 (I, II群) は, CTL群 (III群) に比べて, 血流量及び行動量に有意な低下が認められた。また, 知覚異常のために痛覚閾値に対する反応時間の遅延も認められた。
低周波置鍼療法 (筋パルス) 後, I群 (AA-E群) は, 刺激を行わなかったII群に比べて, 血流量の上昇及び行動量の有意な増加が認められた。更に痛覚閾値に対する反応時間の促進も認められ, 血流改善により疼痛が緩和し, 行動量の増加に繋がったものと考えられた。
以上のことから, 低周波置鍼療法 (筋パルス) は, 慢性炎症による痛みに対して除痛効果があると示唆された。

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