日本東洋医学雑誌
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月経痛, 月経周期異常に対する気剤による治療の試み
5症例の経験から
木村 容子佐藤 弘
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2006 年 57 巻 4 号 p. 453-458

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抄録

月経痛, 月経周期異常に対し, 気剤単独で, 奏功した5例を報告した。症例1では, 激しい心窩部痛及び月経痛が半夏厚朴湯で改善, 症例2では, 柴朴湯で月経不順及び月経痛が軽快, 症例3では, 半夏厚朴湯で月経痛が軽減した。〓血の所見を認めたが, 気欝の症状に基づいて処方を選択した。症例4では, 加味逍遥散から桂枝加竜骨牡蛎湯に変方して月経痛及び月経不順が改善, 症例5では, 主訴の蕁麻疹を桂枝加竜骨牡蛎湯加味方で治療中, 月経周期が40日以上から30日に改善した。後者2例では, 明らかな〓血症候を認めなかった。腹部動悸亢進や怖い夢, いやな夢がみられたため, 桂枝加竜骨牡蛎湯を選択した。月経異常は, 漢方医学的には, 特に「血」に関連する病態が多いとされる。しかし, 5症例の経験から, ストレス状況で発症した月経障害に対し, 〓血の症候を認めても, 気鬱や気逆など「気」の関与を考慮し, 気剤が有効な症例もあることが示唆された。

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