2022 年 48 巻 1 号 p. 2-15
1995年制定の容器包装リサイクル法に関しては,市町村と事業者の負担見直しが議論されてきたが,大きな進展なく現在に至っている。PETボトルリサイクルについては,市町村から再生事業者への有償引渡しが広まり,事業者に対する再商品化義務を外すことの議論もあった。しかし有償引渡しが広まったとはいえ,売却益以上のリサイクル費用をかけている市町村もある。
一方,近年プラスチックの大量消費に対して,「脱プラ」,「減プラ」が国際的な課題となっている。2020年にはコロナ禍の外出自粛による家庭からのプラごみの増加や市町村財政の逼迫など,容器包装リサイクルをめぐる状況に大きな変化が生まれている。
本研究は,このような状況変化のもと,あらためて市町村と事業者の負担見直しが必要との考えのもと,まず,市町村がPETボトルリサイクルに要している費用が売却益より大きいことを複数の市の事例から明らかにした。続いてリサイクル費用のうち,市町村負担分の利用者への転嫁による価格上昇に対し,昨今のPETボトルリサイクルをめぐる情報提供をすることで,受容意思を高めることができることを,おもに京都市内の大学生844名から得たアンケートから明らかにした。結果86%の学生から5円以上の価格上昇を受容する回答が得られ,円滑にリサイクル費用を価格に転嫁できる可能性がみえた。あわせて価格上昇を受け容れない14%の学生アンケート回答から受容意思を高めるための課題について考察した。