感染症学雑誌
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原著
Clostridium difficile toxin A およびtoxin B 市販検出キットの評価
杉浦 秀子金子 孝昌住田 めぐみ小野﨑 正修坂本 史衣大﨑 敬子田口 晴彦神谷 茂武田 京子
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2009 年 83 巻 5 号 p. 513-518

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抄録

Clostridium difficile 関連下痢症(C.difficile-associated diarrhea : CDAD)の診断には,糞便中のtoxin A のみならずtoxinA および/あるいはtoxinB の両毒素検出キットが用いられるようになった.我々は,市販検出キットとしてtoxinA および/あるいはtoxinB の両毒素検出キットであるC.difficile TOX A/B II test (TOX A/BII)ならびにtoxin A 検出キットであるクロストリジウムトキシンA 検出キット「ユニクイック」(ユニクイック)の性能を確認する目的で,①精製されたtoxin A を用いた検出感度試験,②toxin A およびtoxin B を産生,toxin A は産生しないがtoxin B を産生,および両毒素とも産生しないC.difficile 菌株,およびC.difficile 以外の菌株を用いた特異度試験,③臨床検体を用いた感度ならびに特異度試験を実施した.その結果,TOX A/BII ならびにユニクイックにおけるtoxin A 検出感度は,各々0.35ng/mL,0.7ng/ mL であった.また,前述の毒素産生パターンの異なるC.difficile 菌株およびC.difficile 以外の菌株培養上清を用いた特異度評価より,ユニクイックはtoxin A 産生を,またTOX A/BII はtoxin A,toxin B の両毒素あるいはそれぞれ単独の毒素を特異的に検出できることが確認された.臨床検体を用いた感度,特異度試験では,toxin B 産生性C.difficile 分離同定法により当該菌の存在が確認された43 検体ならびに分離されなかった56 検体に対するTOX A/BII のsensitivity,specificity,positive predictive value,negative predictive value はそれぞれ95.3%,98.2%,97.6%および96.5%であり,ユニクイックのそれ(76.7%,98.2%,97.1%および84.6%)に比べ検出感度が高かった.以上の成績より,TOX A/BII による検査結果は毒素産生性C. difficile 分離培養検査結果とよく一致し,CDAD の診断のために有用であることが示唆された.しかしながら,臨床検体からの毒素検出検査のみに頼らず,培養検査を併用することも重要であると考えられた.

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© 2009 社団法人 日本感染症学会
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