感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
原著
病原体診断を伴うリアルタイムサーベイランスによる流行抑制の可能性 ―保育園での手足口病流行での事例検討―
保育園サーベイランスと早期病原診断
菅原 民枝藤本 嗣人大日 康史杉下 由行小長谷 昌未杉浦 弘明谷口 清州岡部 信彦
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2012 年 86 巻 4 号 p. 405-410

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抄録

【目的】保育園での集団手足口病流行とその後の集団発熱を対象として,症候群サーベイランスと病原体診断の連携を予備的調査として試みた.
【方法】都内A 保育園における手足口病の発生状況は,最初の発病者のあった日の1 週間前から,4 週間分を,保育園でのサーベイランスを用いて情報収集した.病原体診断は,発病者1 名から発疹の出現日から3 日間の直腸ぬぐい液を検体とした.また軽快後の発熱,呼吸器症状出現日に鼻腔ぬぐい液を検体としてPCR シークエンスでウイルスを同定した.
【結果】2011 年8 月1 日に20 名の発病者が確認され,1 歳児クラスで12 人,2 歳児クラスで5 人,3 歳児クラスで3人であった.エンテロウイルスPCRは直腸ぬぐい液陽性であり,そのVP4領域の塩基配列をBLAST 解析するとHuman coxsackievirus A6 の遺伝子(AB66318)と207 塩基中206 塩基(99%)が一致し,コクサッキーウイルスA 群6 型と同定された.また鼻腔ぬぐい液からRS ウイルスが検出された.
【考察】保育園サーベイランスは施設内の小児の感染症の発生動向をリアルタイムで把握できる有効な手段であると考えられる.また,その中の1 例でも病原体診断を確定することによって,流行の病原体を伺い知ることができ,対策を実施する上で貴重な判断材料となる.
【結論】症候群サーベイランスの迅速性と迅速簡便な病原体診断を組み合わせることにより,迅速かつ低費用に,警戒すべき疾患の発生早期にその流行をとらえ,対策を早期にとることが可能になることが期待される.

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© 2012 社団法人 日本感染症学会
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