感染症学雑誌
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原著
訪問看護と連携して実施した持続静注投与法を用いた外来静注抗菌薬療法(OPAT : Outpatient Parenteral Antimicrobial Therapy):10 例の経験
馳 亮太宇野 俊介三好 和康藤田 浩二鈴木 啓之鈴木 大介三河 貴裕村中 清春細川 直登
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2015 年 89 巻 5 号 p. 567-573

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抄録

当院では2012 年7 月からインフュージョンポンプによる持続静注投与法を用いたOPAT(Outpatient Parenteral Antimicrobial Therapy)の運用を開始し,2014 年5 月に最初の報告を行った.対象患者を選定する過程で,連日の外来通院が困難という理由でOPAT を実施できない患者が多数存在することが判明したため,2013 年5 月からは,地域の訪問看護ステーションと協力し,訪問看護を利用してポンプ交換を行うモデルを構築した.本研究では,訪問看護を利用して持続静注投与OPAT を実施した10 例の患者について,治療対象疾患,起因菌,使用抗菌薬,治療期間,治療完遂率,転帰,再入院率,Bed days saved(節約できたベッド数×日数),医療費削減効果を検討した. 治療対象疾患は骨髄炎3 例(うち1 例は細菌性髄膜炎との合併症例),感染性心内膜炎2 例,腎盂腎炎,原発性菌血症,カテーテル関連血流感染症,筋内膿瘍,顎下腺膿瘍がそれぞれ1 例ずつであった.9 例が菌血症を伴った症例であり,起因菌は黄色ブドウ球菌が最多であった.使用抗菌薬はセファゾリンが5 例,ペニシリンG が3 例,タゾバクタム・ピペラシリン,セフェピムがそれぞれ1 例ずつであった.OPAT による治療期間の中央値は12 日であった.全例で予定された治療を完遂し,8 例が治癒,2 例が改善と判定された.治療終了1 カ月以内に再入院が必要となった症例は1 例のみであった.Bed days saved の合計は129 であった.入院継続で治療を行ったと仮定した場合の推定入院医療費とOPAT 期間中の診療報酬請求額および訪問看護療養費請求額をもとに算出した医療費削減効果の推定額は496,540 円(約US$4,200)であった.訪問看護の利用によって連日の外来通院が困難な患者に対してもOPAT 導入が可能となる.地域の訪問看護ステーションと連携することで,より多くの患者にOPAT を提供し,地域の病床の有効利用,医療費削減に貢献できる可能性が示唆された.

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© 2015 一般社団法人 日本感染症学会
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