感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
イムノクロマト法を原理とする12 種のRS ウイルス迅速抗原検出キット製品の,ウイルス検出の感度性能の比較
大宮 卓久保 亨西村 秀一
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 90 巻 5 号 p. 633-638

詳細
抄録
 Respiratory syncytial(以下RS)ウイルス感染症の診断補助用に現在本邦で市販されているイムノクロマトグラフィーを原理とした迅速抗原検出キット(以下キット),全12 製品について,ウイルス検出感度を比較した.RS ウイルスA,Bの実験室株各1 検体ならびにウイルスが分離された検体で鼻腔吸引の臨床検体からA,Bサブグループウイルス陽性のものを各々2 検体ずつ,計6 種の検体について階段希釈しキットと反応させ,陽性反応が出る最大希釈度を求めた.その結果,それらは各キット間で異なっていたものの,その差は5 種の検体で10 倍,1 種の検体のみ33 倍であった.各検体のウイルス遺伝子コピー数を測定し,最小検出感度を検出限界コピー数として表したところ,検体によって107から109 コピー/mL の範囲にあった.各キットの成績を全キットの幾何平均値と比較してみたところ,そう著しくはないものの6 種の検体すべてに対して幾何平均値の0.2 倍から0.9 倍,あるいは1.9 倍から5.5 倍の範囲で反応を示すコピー数が低いキットあるいは高いキットも存在しており,そう著しくはないもののキット間でRS ウイルス抗原全般に対する感度性能に差があることが示唆された.  臨床現場でのキットの採用においては,感度が高いことが望ましい条件の一つではあるが,本試験での比較の結果,その差はキット間でそれほど著しいものとはいえず,現状では,特異度はもちろんのこと,価格,使いやすさ,判定時間等の感度性能以外の要素も,大きな判断材料となりうると考えられた.
著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本感染症学会
次の記事
feedback
Top