2017 年 91 巻 2 号 p. 132-136
2014 年4 月から5 月にかけて,当院の7 名の患者よりmeropenem(MEPM)に耐性を示すEscherichia coliが分離された.7 名のうち1 名は長期入院中の患者から分離されたが,他の6 名は入院時に採取した喀痰から分離されたため院内感染の可能性は低いと考えられた.これらの患者より分離されたE. coli 7株のimipenem(IPM)のMIC は0.5μg/mL もしくは1μg/mL であったが,MEPM は8~32μg/mL を示した.また,すべての株はmetallo β-lactamase(MBL)IMP-6 およびextended spectrum β-lactamase(ESBL)CTXM-2 の遺伝子が確認された.Pulsed-field gel electrophoresis(PFGE)解析により,7 株は同一クローンであることが確認された.入院時の検体から分離された6 名のうち2 名は同一の介護施設からの受診であったが,その他の4 名に入院前の関連性は認められなかった.これらの結果から,MBL 産生E. coli がすでに広く市中に分布している可能性が示唆された.