感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
腸炎を呈した患者に対する新規カンピロバクター抗原 迅速診断キットの評価
立川 夏夫吉村 幸浩清水 恒広杤谷 健太郎後藤 哲志角田 隆文足立 拓也小林 謙一郎坂本 光男大成 滋川端 直樹坂上 有貴子相楽 裕子
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 91 巻 2 号 p. 145-150

詳細
抄録

今回,新たに開発されたカンピロバクター抗原迅速診断キットDK14-CA1(デンカ生研,以下抗原検出キッ ト)の臨床性能評価を行った.抗原検出キットは着色ラテックス粒子を用いたイムノクロマトグラフィー法を原理とする試薬で,腸炎患者の糞便検体から直接カンピロバクター抗原(Campylobacter jejuni またはCampylobacter coli)を15 分で検出できるキットである. 腸炎患者からの糞便検体227 検体を対象に臨床性能試験を実施し,抗原検出キットと培養法との成績を比較した結果,陽性一致率75.6%,陰性一致率98.6%,全体一致率89.9%,陽性的中率97.0% の相関を示した.抗菌薬投与を考慮する際の指標となる重症に該当する53 症例では,培養法に対して,陽性一致率82.1%,陰性一致率100%,全体一致率90.6%,陽性的中率100%の相関を示した.抗原検出キットの陽性判定までの平均時間は約7 分で,培養法の陽性判定までの平均培養日数は約2.2 日であった. 抗原検出キットは培養法と比べやや感度が低いことを理解した上で使用する必要はあるが,外来やベッドサイドで迅速にカンピロバクターの検査が出来る点は,今後の腸炎患者の診療に有用であると考えられた.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top