感染症学雑誌
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原著
ワクチン接種後の有害事象と副反応
中山 哲夫
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2019 年 93 巻 4 号 p. 493-499

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抄録

ワクチン接種後の有害事象が「副反応の疑い」として報告されており報告された事象がワクチン接種により発症するかのような誤解が生じる.厚生科学審議会(厚生労働省予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会:第1回から第35回,一部第34回)で審議された副反応疑い報告状況に公開されている資料を参考に平成25年4月から平成30年4月(一部2月)までに報告された事象を対象として重篤な副反応,特に死亡例の報告をまとめた.麻しん・風しん混合ワクチン(MR),麻しん,風しん,おたふくかぜ,水痘の生ワクチン接種後の重篤な副反応は10万あたり0.51~1.91 で死亡例については5年間のうちでMRワクチン接種後では5例のみであった.ジフテリア・破傷風・百日咳(DTaP),不活化ポリオ(IPV),DTaP-IPV,インフルエンザ桿菌タイプB(Hib),肺炎球菌(PCV),日本脳炎ワクチン接種後の重篤な副反応の頻度は10 万あたり2.03以下で死亡例はHib,PCV同時接種の44例であった.23価肺炎球菌,インフルエンザワクチン接種後死亡例は51例,63例であった.報告された死亡原因としては小児では乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)と原因不明が多く,成人では一般の死亡原因と一致していた.ワクチンは生体の免疫応答を利用して感染防御,症状の軽減を目的とするものである.ワクチン接種後の有害事象の発症は避けることができないがワクチン接種との直接的な因果関係は科学的な原因究明が必要となる.

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© 2019 一般社団法人 日本感染症学会
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