感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
トジナメラン(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2))による副反応の経日的調査―副反応出現率に対する性別,年齢および接種回数の影響―
倉田 賢生井上 昇近藤 聡子斧沢 京子谷 直樹南 順也大石 涼長野 祐久荒木 弘桑野 博行福岡市民病院COVID-19ワクチンワーキンググループ
著者情報
キーワード: COVID-19, vaccine, adverse effect, mRNA
ジャーナル フリー

2022 年 96 巻 3 号 p. 65-73

詳細
抄録

本研究は,トジナメラン被接種者に出現した副反応の経日的な調査,および副反応の出現率に影響する共変量の探索を目的とした.

2021年3月から4月において,福岡市民病院にて本ワクチンが接種された職員を対象に,注射部位および全身の副反応(13項目)を接種当日(day 1),day 2,day 3,day 4,およびday 5以降ごとに調査した.

副反応の出現率は,ほとんどがday2において最高値を認めた.1回目接種後(および2回目接種後)のday2での出現率は,注射部位の疼痛が86.0%(86.9%),倦怠感が33.2%(76.9%),頭痛が14.3%(56.9%),筋肉痛が37.0%(57.2%),発熱が5.2%(51.1%),および関節痛が9.3%(43.9%)であった.2回目接種後は1回目と比較して副反応が遷延する頻度,および中等度以上の副反応(疼痛,腫脹,皮疹を除く)が出現した被接種者の割合がそれぞれ有意に高かった.各副反応の出現率に性差,年齢差,および接種回数による差のいずれかが存在することが認められた.特に全身倦怠感および頭痛の出現率は,女性,55歳以下の年齢および2回目接種のすべてにおいて有意に増加した.女性および2回目接種は,影響する副反応の出現率の上昇のみをもたらす共変量であった.

本ワクチンの副反応の出現率は,2回目接種翌日における女性および55歳以下の被接種者において高いことが示された.本研究結果は,本ワクチン被接種者の副反応の予測,および接種日の設定の際に有用であると考えられる.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本感染症学会
次の記事
feedback
Top