感染症学雑誌
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A型急性肝炎及びサルモネラ腸炎の経過観察中に発症した三日熱マラリアの一例
加藤 孝治中村 千衣天野 冨貴子田中 康之上田 康夫
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1982 年 56 巻 10 号 p. 872-876

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抄録

世界の交通網の発達により, 各地の種々の風土病を観察する機会が多くなったが, 診断困難な場合もある.
症例は, 22歳白人男子学生で, 約2年にわたり, 欧州, 中近東, バングラディシュ, ネパール, インドを経て来日した. 彼は, インドでA型肝炎とサルモネラ腸炎に罹患し来日し入院した. この治療中に三日熱マラリァを発症した.
インド出国時に多数の蚊に刺され, その17日後より5日間発熱し解熱した. 35日目に再度発熱し, 48時間間隔の定型的な熱型と, 三日熱マラリア原虫を血液像で認め, マラリアと診断した.
抗マラリア治療終了後, 1週間目に行なった骨髄穿刺では, 環状体の原虫を少数認めたが, 死滅し, 完治するものと考えられる.
今後国外旅行者はさらに増加し, A型肝炎, マラリアを含め, 各地の風土病の発生が増加すると思われる.
国外旅行者の発症に関しては, 充分注意して診断する必要がある. 又治療薬剤については, 種々の制限があるが, 予防投薬や, ワクチンの開発が特に望まれる.

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