感染症学雑誌
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急性上気道炎に対するクリノリル錠の臨床治験
藤森 一平河野 通律竹田 義彦関田 恒二郎安達 正則早川 正勝荻原 宏治野口 龍雄飯塚 邦芳玉川 鉄雄伊藤 周治榎本 新市山崎 富美夫勝 正孝佐々木 智也
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1982 年 56 巻 12 号 p. 1186-1195

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抄録

昭和56年11月から昭和57年1月までに来院した急性上気道炎 (かぜ症候群, 急性咽頭炎) で, 発症後2日以内の患者72例に非ステロイド性消炎・鎮痛剤クリノリル (一般名スリンダク) を1日量300mgとして1回150mg1日2回4日間投与した結果, 本剤の有用性はかなり高いと思われるので報告する.
評価項目別改善度をみると落痛症状では咽頭痛, 嚥下痛, 頭痛, 腰痛, 関節痛および筋肉痛において, 投与3日目に51.7-75.0%, 5日目には69.2-92.5%の改善率を示し, 発熱については, 投与3日目の評価25例全例に解熱効果が認められた.しかし, 全身症状の倦怠感および各種気道症状については, 改善率が投与3日目, 5日目を通じて29.4-55.6%と比較的低い結果であった.また, 局所炎症症状では, 咽頭および扁桃の発赤および腫脹が投与3日目に52.8-65.0%, 5日目には72.4-100%とかなり高い改善率が認められた.
また, 副作用は2例 (2.8%) に軽度の胃部不快感が観察されたのみで, 本剤の忍容性が良いことが認められた.
また, 本剤に対する各医師の有用性評価も極めて有用19例 (26.4%), かなり有用26例 (36.1%), やや有用22例 (30.6%), どちらともいえない5例 (6.9%) で, やや有用以上で67例 (93.1%) と高い有用率を示した.

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