感染症学雑誌
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胆石症患者の胆汁からリステリア菌3型を分離した一症例
永井 龍夫白松 幸爾
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1983 年 57 巻 2 号 p. 186-190

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抄録

わが国におけるヒトのリステリア症から分離されたリステリア菌の血清型は1型或いは1b型と4b型がほとんどである. そのほかの血清型として, 著者の一人永井は1974年に4d型, 1977年に2型の分離症例を感染症学雑誌に報告している.
1980年5月, 胆石症で札幌医大病院第一外科に入院, 胆石の摘出手術をうけた患者 (23歳, 女性) の手術時に採取した胆汁からリステリア菌が純培養の形で分離された.
分離菌株 (越前株) はグラム陽性の短桿菌で, 生物学的諸性状はリステリア菌に一致する. リステリア菌標準菌株の免疫血清 (O血清とH血清) について定量凝集反応および吸収試験を実施した結果, 越前株はリステリア菌3型と同定された.
リステリア菌3型の分離ははじめてなので念の為, 越前株の免疫血清 (O血清とH血清) を作製して, 交叉的に定量凝集反応と吸収試験を行った結果, 越前株はまちがいなくリステリア菌3型であることが証明された.
本症例は胆石症であって臨床的に胆嚢炎などの炎症は全く認められていない. 従って胆汁から分離された越前株と胆石症の間には因果関係はないものと思われる.
リステリア菌が健康人の糞便から0.5%の割合で見出されるという報告があるが, 本症例は胆汁中に潜伏的に存在する可能性を示唆する点が興味深く思われる.

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