感染症学雑誌
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Ubol型エルトールコレラ菌の病原性
重野 秀明岩永 正明
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1983 年 57 巻 3 号 p. 240-251

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抄録

従来, 非 (弱) 病原性と言われてきたウボール型エルトールコレラ菌の病原性について, 動物実験におけるセレベス型エルトールコレラ菌との比較を行った. 実験は両型菌各5株の毒素産生性・感染性 (粘膜付着性)・発病性について行った. 毒素産生性は液体培地における培養上清と家兎腸内貯留液の毒素量を逆受身ラテックス凝集法により, 粘膜付着性は腸洗浄法と走査型・透過型両電顕法により, 発病性は幼若マウス (ICR系) 致死率・幼若家兎腸内液体貯留率・成熟家兎腸管ループ法によって判定した. その結果, セレベス型菌は全株いずれの検査においても強陽性を示したが, ウボール型の2株はいずれも陰性所見を示した.しかし, ウボール型の残る3株はセレベス型菌と同様の結果であった. 毒素産生性のみについてみると, 病原性株の中にもin vitroでは測定限界以下の産生能しかないがin vivoでは多量の毒素を産生する株がみられた. 粘膜付着性と毒素産生性のいずれか一方のみ陽性を示す株はみられなかった.

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