感染症学雑誌
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小児臨床材料より分離されたAmpicillin耐性Haemophilus influenzaeの疫学と, その耐性機序に関する研究
黒崎 知道
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1985 年 59 巻 2 号 p. 103-114

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抄録

近年, Haemophilus influenzae (以下H.influenzae) のABPC耐性化が注目されつつある.そこで, 小児臨床材料より分離されたABPC耐性H.influenzaeの実態を把握するために, 薬剤感受性, β-lactamaseの性状, さらに耐性plasmidの検出率につき検討を行った.
(1) 千葉大学小児科におけるABPC耐性H.influenzaeの分離率は, 1感染エピソード1株として集計すると, 1979年5株 (10.4%), 1980年13株 (11.5%), 1981年19株 (16.8%), 1982年19株 (17.4%) で漸増傾向を示し, ABPC耐性菌は, 全株β-lactamaseを産生した.
(2) ABPC耐性H.influenzaeの県下の分布の一端を知るため, 千葉県東総地区の旭中央病院で, 1981年6月から1982年2月に分離されたH.influenzae226株につき, ABPC耐性率を検討した.小児鼻咽腔由来株では7/197 (3.6%), 小児急性中耳炎児の耳漏由来株では1/29 (3.4%) と低率であったが, 千葉県東総地区内において, ABPC耐性菌の偏在はなかった.
(3) ABPCに対する薬剤感受性で, 1.56μg/ml以上の株は全株ともβ-lactamase陽性であり, ABPC耐性と判定した.これらの株は, CTX, LMOX, CAZ, CPZと第3世代セフェム系薬剤には非常に良好な感受性を示した.以下, RFP, NA, GM, BRL25,000 (AMPC-CVA), MINO, KM, SMの順で感受性が分布し, CCL, CFT, AMPC, EMには, 1管程度の差があるものの, 耐性であるABPCとほぼ同程度の感受性パターンを示した.CP, TCに対しては, 2峰性の感受性パターンを示し, 耐性率はそれぞれ14%, 52%であった.ABPC・CP・TC3剤耐性株も7株 (14%) 分離された.尚, CP耐性株は, chloramphenicolacetyltrarlsferase (CAT-ase) 陽性であった.
(4) ABPC耐性H.influenzaeは, 50株全株β-lactamase陽性であり, 基質特異性は, 23株につき検討したが, 全株I型penicillinase (三橋分類) であった.
(5) ABPC耐性H.influezaeからplasmidの検出を試みたが, recipientとしてEcoliK12株を用いた所, すべて陰性であった.H.influenzae をrecipientとし, ABPC耐性H.influenzae50株中30株 (60%) から伝達性薬剤耐性 (R) plasmidが分離され, その伝達頻度は, 腸内細菌と比較すると頻度が低かった.

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