感染症学雑誌
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追跡調査中に非キャリアー化したHBVキャリアーに関する研究
田村 偉久夫島瀬 公一市村 宏金藤 英二栗村 統土江 秀明栗村 敬
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1985 年 59 巻 2 号 p. 65-69

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抄録

5年間以上追跡調査のできたHBVキャリア-478例のうち, 血清中のHBsAg消失例が36例 (7.5%) みつかった. この36例における各種HBVマーカーの経時的推移について検討した.
1) Anti-HBsが出現したのは14例 (Group I) で, 残りの22例 (Group II) は検出されなかった.HBsAg 消失時の平均年齢において, Group I (58.5歳) とGroup II (44.6歳) の間に年齢的有意差が認められた.したがって, Group IIにもanti-HBsの出現する可能性が示唆された.
2) HBsAgの消失と他のHBVマーカー (HBeAg, anti-HBe, anti-HBc) の推移との間には判然とした関連性はないことがわかった.
3) HBsAgの年間消失率は1.27%であった.また, 年齢階層別の年間消失率から, 40歳以上でHBsAg消失率の増加することが明らかとなった.

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