1985 年 59 巻 2 号 p. 86-93
カンピロバクター腸炎の感染源として重視されているニワトリにおける本菌の保菌状況ならびに養鶏場内の環境における本菌汚染について検討を行った.
2日齢のヒヨコ26羽からは本菌が検出されなかったが, 4週齢の若鶏では39羽中1羽, ブロイラーで は46羽中13羽 (28.3%), 廃鶏では341羽中112羽 (32.8%) の腸管内容物からカンピロバクターが検出された.分離菌株のほとんどがC.jejuniでC.coliはわずかに6.3%にすぎなかった.ブロイラーや廃鶏での検出率には養鶏場によって著しい差異が認められた.
経時的に本菌の排菌状態を検討した結果, 長期間連続して排菌するものと, 時々排菌するものがみられた.ふん便への本菌排菌量は1g当り103~104個/gであった.
ニワトリの飲み水34検体中7検体が本菌陽性であった.また養鶏場内で捕獲したハエも11%の頻度で本菌を保有しており, ハエによっても本菌汚染が広がり得ることが示唆された.
ニワトリから検出されたC.jejuni 73株中62株 (85%), 養鶏場環境由来の42株中34株 (81%) が著者らが開発した血清型別法で型別可能であった.
ニワトリ由来のC.coli 7株のうち5株は著者らのC.coliの血清型CCK 5に該当し, 2株は型別不能株であった.