感染症学雑誌
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婚約者が感染源と考えられたB型劇症肝炎の救命例
平野 勝也森 孝宏奥村 雄三林 純野村 秀幸宮永 修吉松 博信石橋 大海柏木 征三郎稲葉 頌一
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1988 年 62 巻 4 号 p. 388-392

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抄録

27歳の健康な女性がB型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症したが, 血漿交換を含む治療により救命し得た. 患者の過去3回の献血時の検査ではHBs抗原は陰性で, 輸血歴およびキャリアーの家族歴はないが, HBe抗原陽性のB型慢性肝炎患者の婚約者と発症2ヵ月前から親密な交際があったことから, 婚約者が感染源と考えられた.
性行為に伴うB型急性肝炎の発症の報告はみられるが, 劇症肝炎の報告は稀であり, 将来も本例のような劇症肝炎の発症をみることが予想される. B型肝炎の予防対策の一環としてのキャリアーに対する教育上示唆に富む症例と思われたので報告する.

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