感染症学雑誌
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Rhabdomyolysisを来したレジオーネラ症の1例
東 冬彦中村 正彦丸山 太郎中村 靖有川 一美船津 雄三小川 順一勝 正孝
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1989 年 63 巻 1 号 p. 79-82

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抄録

レジオネラ症は腎臓, 消化器, 中枢神経系などの肺外症状を来すことがあるが, 稀にRhabdomyolysisの報告がある.
今回, われわれは肺炎, 下痢, 中枢神経症状ならびにRhabdomyolysisを来した症例を経験し, 救命しえたので報告する.
症例は63歳の男性で昭和62年中国旅行から帰国後, 38度台の発熱, 咳漱, 喀痰, 下痢, 嘔吐を認め, 脱水症状が著明となったため東京電力病院に入院した.
入院時, 胸部レ線にて左肺下葉に陰影あり, 湿性ラ音を聴取した.
検尿にて, 尿蛋白 (+++), 潜血 (++), 尿沈渣赤血球1~3/1HPF, CPK18, 3151U, BUN28mg/dl, クレアチニン1.7mg/dl, GOT3291U, GPT911U, 血中myoglobin8,100ng/mlであった.
入院後脱水症にたいして補液を行ない利尿がみられた.CTXを4g投与したが, 無効のため4日目よりMINOを200mg投与したところ解熱し, 諸症状の改善をみた.血清学的にもL.pneumophilaの抗体値1,024倍であった.
レジオネラ症におけるRhabdomyolysisの原因としては菌体から産生されるエンドトキシンが考えられているが, 本例では著明な脱水症も加味していたと思われる.

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