感染症学雑誌
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 院内感染における医療従事者鼻腔保有株の意義に関する検討
青木 泰子柏木 平八郎
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1990 年 64 巻 5 号 p. 549-556

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抄録

MRSA感染症の多発病棟では, 医療従事者の鼻腔のMRSA保有がしばしば認められるが, その患者に対する感染源としての意義を解明する目的で, MRSA感染症の多発した集中治療病室 (ICU) で医師, 看護婦の鼻腔培養を行い, 検出されたMRSAの抗菌薬感受性とコアグラーゼ型を患者の感染病巣由来株と比較した.
医師20名中10名, 看護婦26名中6名の鼻腔から黄色ブドウ球菌が検出され, 医師5名, 看護i婦2名の株がMRSAであつた. これら医療従事者保有MRSAのコアグラーゼ型はすべてII型で患者由来株と一致していたが, 抗菌薬感受性を比較すると, IPM, GM, MINO, OFLXなどに感受性である点が患者由来株と異なっていた. 医療従事者保有メチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) のコアグラーゼ型を臨床分離株と比較すると, 入院患者由来のMSSAと類似した分布を示していた. 医療従事者保有MRSAをGM, MINO, OFLXなどの薬剤を含む培地中で培養するとこれらの薬剤に対する耐性株が出現し, その後, 薬剤を含まない培地中で培養しても耐性の脱落は認められなかつた. さらに, 医療従事者保有MSSAをDMPPC, CMZを含む培地中で培養すると両薬剤に対する耐性株が得られた.
以上の結果, 医療従事者保有MRSAは院内感染における感染源としての意義を有する可能性が示唆され, また, その対策に当たつては, MSSAをも対象とする必要があると考えられた.

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